玄関からアプローチ、そして駐車場まで。
今回の現場では、大谷石をたっぷりと使わせていただきました。
使用したのは、すべて廃材の大谷石。
サイズも厚みもまちまちで、整った材料ではありません。

だからこそ、積み込む時から「この石はどこに使おうか」と、一つひとつ考えながら選んでいきました。
大谷石は階段にもとても適した石です。
薄い石材を貼るのではなく、構造としてもしっかり使え、なおかつ仕上げの表情としても魅力があります。

表面にぽつぽつと現れる「ミソ」と呼ばれる穴も、素材の味わいとして楽しめるところです。
門柱には、あえてごつごつとした荒々しい石を選びました。
均一な形ではありませんが、だからこそ既製品では表現できない力強さと存在感があります。
そして、私が大切にしているのが「地域性」です。

この廃材も、大谷石の文化が根付く宇都宮市だからこそ手に入るもの。
その土地に根ざした素材を、その土地で活かしていくこと。
それが、庭をつくる上でとても大切なことだと思っています。

大谷石の魅力は、主張が強すぎないところにもあります。
道路から玄関まで、大谷石で構成しても決してくどくならず、落ち着いたやさしい表情が生まれます。